「税理士事務所を開業したのはいいけど、集客が思うようにいかない。」
「最近、急に税理士事務所の集客が難しくなってきた。」
上記のような、税理士事務所の集客に関する悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
現在、税理士登録者が年々増加する一方で企業数は減少傾向にあります。さらに、個人経営の税理士事務所のクライアント候補である小規模事業所は特に減少傾向が強いため、思うように集客ができずにお困りの方も多いでしょう。
このような状況下で安定して顧客を獲得し続けるには、効果的な集客を継続していくほかありません。
なぜ今の集客方法でうまくいかないのか?
効果的な集客ってどういうこと?
どんな方法で集客を行えばいいのかわからない。
本記事では、税理士事務所の集客に関する悩みを一挙に解決します。
集客がうまくいかない根本的な理由を示すとともに、オンライン広告など今の時代にあった集客の方法を紹介します。ぜひ本記事を参考に、事務所に最適な集客方法を検討してみてください。
目次
集客がうまくいかない3つの理由
日々真摯に業務と向き合い、税理士として真っ当に活動しているのに集客がうまくいかないのはどうしてなのでしょうか。また、実際に今行っている集客で成果が上がらないのはなぜなのでしょうか。
この章では、よくある集客がうまくいかない際に考えられる原因をいくつか紹介します。自分の事務所が以下の項目に当てはまっていないか確認してみてください。
1. 他の事務所との差別化が図れていない
冒頭でも説明したように、現在税理士登録者の人数は増え続けています。そのため、平凡な集客をしたところでより知名度の高い事務所の下に埋もれてしまうのです。ここで重要なポイントが、自分の事務所の強みを明らかにすることです。
例えば、たくさんある税金の中でも得意とする分野があるならそれを前面に押し出した広告をすると良いでしょう。「どんな相談でも受けます」というよりも、「所得税の相談には自信があります」などのように得意分野を打つ出したほうが、一定の層からの依頼を獲得できる可能性は高まるでしょう。
また、得意分野を明示することで他の事務所と差別化できれだ、広告が埋もれてしまうということも減ると考えられます。
2. 依頼者(顧客)からの認知がない
依頼者が税理士を探す場合、現在はインターネットを媒介として検索する方法が一般的でしょう。そのため、インターネット上に事務所の情報が掲載されていない場合に新規の依頼を獲得するのは難しいと言えます。
多くの人がインターネットを使う時代になった今、集客の方法もオフラインのものではなくオンラインのものに変更していく必要がある等に思われます。
集客をしているが、オンラインの媒体での集客を行っていないという事務所は要注意です。この機会にホームページをはじめとしたオンライン集客を取り入れてみてはいかがでしょうか。
3. 実績が不十分
依頼者がどの税理士に相談するか決める際、大きな判断基準のひとつは税理士自身の実績でしょう。そのため、実績を積む努力をせず、闇雲に集客を行うだけでは依頼者に見つけてもらえたとしても依頼に結びつく可能性は低くなってしまいます。
実績は依頼者からの信頼に直結する要素でもあるので、集客を行う前にもう一度自身の実績を見直してみましょう。
選ばれやすい税理士のポイント
税理士事務所の生存競争は、年々厳しくなっていると言われています。その中で案件を獲得するには、顧客の満足度をあげることが肝要です。そのためには、「この事務所を選んでよかった」と思ってもらうための付加価値が必要になります。
相談のしやすさ・顧客の意思を汲み取る精度などの人間力もさることながら、専門分野を打ち出して、より積極的にニーズに応えていくことも大切です。相続や企業会計、事業承継など、得意分野を掘り下げて、乱立する競合事務所との差別化を図りましょう。
強みを持つことで、安易な価格競争に頼ることなく、選ばれる事務所として生き残れる可能性が高くなるでしょう。
税理士におすすめの9つの集客方法
先に述べたように、看板を掲げて顧客を待つだけでは難しい時代となりました。とはいえ、営業を行うにしてもどのような方法がいいのかわからないという方も多いでしょう。そこで、主にWebを利用した、現代に即した集客方法について紹介していきます。
ひと目でわかる!集客方法比較表
ホームページ | DM | SNS | リスティング広告 | Googleマイビジネス | ブログ | ポータルサイト | セミナー | |
費用 | 50万円~ | 無料~ | 無料 | 20万円~ | 無料 | 月額1,100円~ (WordPress) | 無料~ | |
即効性 | △ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | △ | △ | ◎ |
長期性 | ◎ | △ | ○ | △ | ○ | ◎ | ○ | △ |
ターゲット例 | 10~50代 | 10~50代 | 30~50代(Facebook) | 10~50代 | 近隣住民 | 10~50代 | 10~50代 | 30~50代 |
1. ホームページ
ホームページは、税理士事務所が集客を図る上で極めて有用な手段です。事務所の情報を掲載することで、顧客からの問い合わせを見込むことができます。
さらに地名を盛り込めば、YahooやGoogleなどの検索エンジンから顧客に事務所の存在を見つけてもらいやすくなるでしょう。また、事務所の場所だけでなく、専門分野などの情報を盛り込むことによって、顧客の興味を引き、マッチングする確率が高まるのではないでしょうか。
メールでも問い合わせできるようにしておけば、顧客から気軽にコンタクトを取ってきてくれるでしょう。ただし、多くの事務所がホームページを持っていることから、その中で選ばれることは、難しいかもしれません。
ホームページを作成するには、自作する方法と、制作代行会社に依頼する方法があります。費用は掛かりますが、多くのノウハウを有するプロに依頼するのも一手です。
ホームページの制作を代行会社に依頼する際の費用の相場はピンキリで、一般的に安くて50万円~といったところです。高い場合だと1000万円を超えるケースもあります。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。ホームページ制作にかかる費用の詳細や、おすすめの制作会社は以下の記事に掲載しています。
税理士のホームページ作成時のポイント
ホームページを活用した集客を成功させるためには、ホームページのデザインや掲載する情報を工夫することがおすすめです。
例えば、専門として取り扱っている分野がひと目でわかるようなデザインにしたり、豊富な実績をアピールできるようなデザインにしたりするといったような工夫です。強みや実績は他の税理士事務所との差別化を図る上で最も効果的な情報なので、上手に活用しましょう。
また、シンプルな設計にしてユーザーにとってわかりやすい導線を引くこともひとつの手です。問い合わせ・相談フォームまでの導線がしっかりしていれば、新規客の獲得数向上も見込めます。
掲載する情報については、顧客に安心して依頼してもらえるよう顔写真付きの税理士紹介などが有効です。また、事務所の所在地や電話番号の記載、予約フォームの設置などにより、顧客が問い合わせやすいように配慮すると良いでしょう。
税理士事務所のホームページ作成に特化した情報は、以下の記事で解説していますので参考にしてください。
2. DM(ダイレクトメール)
法人登記をされた企業の情報から、ダイレクトメールを送る方法です。主に、設立したての企業をターゲットとするとよいでしょう。新設企業の情報は国税庁のホームページ(法人番号公表サイト)にて簡単に得られます(法人番号公表サイト:https://www.houjin-bangou.nta.go.jp)。
企業の所在地を丁目や番地の単位までピンポイントで絞って検索することも可能なので、自身の経営する税理士事務所の付近を対象にしたエリアマーケティングも行えます。
はがきや封書・メールだけでなく、ブログ記事のように相手の欲していそうな情報を送る方法もあります。DMはインターネットで雛形を探せるため、手軽に導入できるでしょう。
ただし、企業にはほかの税理士事務所のみならず、毎日のようにさまざまなDMが届いている可能性が高く、読む前に捨てられてしまったり、流し読みをされたりと、訴求力が低いことがデメリットです。
3. SNS(Facebook・Twitterなど)
SNSは無料で社会的つながりを求めることができる便利なツールです。
Facebook
経営者層で利用している人も多いため、そういったグループに入ることで見込み客と知己を得られるチャンスが増加します。こまめにコミュニケーションを取っていけば集客につながるかもしれません。
ほかの士業者とコネクションを作れたり、旧知の方との絆が復活したりすることで、案件が獲得できる可能性もあります。
Twitter
若年層やフリーランスなどの個人事業主とのつながりも持ちやすいでしょう。手軽な情報発信に強みがあるため、ツイート(投稿)の内容によって専門性や人間性をアピールし、信頼を得ることや宣伝効果が見込めます。
ユーモラスなツイートや、有用なツイートは広く拡散されることもあり、一気に認知度を上げられる可能性もあります。
どちらも広範囲にアプローチが可能ですが、その反面、多数の情報の中に埋もれてしまったり、認知を得るまでに時間がかかったりなど、課題も存在します。したがって、期待する効果の得られるまでは、地道に情報発信していく必要があるでしょう。
4. リスティング広告
リスティング広告(検索連動型広告)は、Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンの上部に表示される広告です。あるワードが検索された際、そのワードに適した広告が表示されます。
例えば「○○市 税理士」などのワードに対し広告を出し、事務所のホームページをリンク先に設定することによって顧客の獲得につながるでしょう。
基本的に広告がクリックされたときのみ費用がかかる仕組みで、1日単位で最大予算を設定できます。地名や専門性も含めて、ダイレクトに検索がかけられたワードに対して訴求するので極めて効率的で、「ユーザーが顧客になる可能性が高い」という明確なメリットがあります。
ただし、同じワードで競合他社が存在する場合、かけた費用や広告内容などによって表示される優先順位が前後するため、場合によってはまったくユーザーの目につかない恐れもあるというデメリットを持ちます。
一般的にリスティング広告にかかる費用は20~50万円とされています。出稿する記事やサービス次第では20万円以下で収まったり、反対に50万円以上かかることもあるので、注意してください。(詳しくはこちら:https://www.i-nobori.com/media/2860 )
5. Googleマイビジネス
Googleマイビジネスは、Googleマップに自身の税理士事務所の情報を登録できるサービスです。登録するとGoogleマップ上に情報が表示されるのみならず、検索結果の上位(マイビジネスの枠内)に表示される可能性が高まります。
さらにナレッジパネルという、検索結果の右側にある余白にPRを掲載することができます。無料で利用可能なので、ぜひ登録しておきましょう。
ただし、Googleマイビジネスには誰でも編集できる口コミ欄があります。悪い口コミが書かれてしまわないよう気をつけましょう。
6. ブログ
ホームページを作成するのならば、ぜひブログも作って記事を掲載してみましょう。ブログ記事を書くことによって、費用をかけずに集客を望むことができます。ホームページだけの場合よりも、より人柄や強みをアピールすることもできるでしょう。
ただし、上手く活用するにはホームページ同様、記事が検索上位に表示されるよう注意を払う必要があります。見込み顧客が検索するであろうキーワードを選定し、ニーズに応えた記事をたくさん執筆することによって、顧客の流入を図りましょう。
また、情報の専門性だけでなく、SEOを意識した緻密な記事設計が求められるため、容易ではありませんが、そのような記事を積み重ねることによって、読者の興味や信頼を得られるでしょう。税理士個人や事務所のカラーを打ち出し、ファンを獲得することも可能です。
ブログでの効果的な集客のために必要なSEOとは?
SEO」とは、検索エンジンでホームページを上位に表示させる方法です。SEOは専門的な知識を必要とするうえ、成果が現れるまでに時間がかかります。そのため、ブログのデザインはもちろん、離脱の防止やターゲット・ゴールの明確化といったSEOにもこだわる必要があるでしょう。
簡単に行えるSEO対策の方法としては、以下の8つが挙げられます。
1.キーワード選定
2.量より質を重視した読みやすいコンテンツ
3.タイトルとディスクリプション
4.記事内タグの設定
5.画像と文字サイズの最適化
6.モバイルファースト
7.被リンクの獲得
8.サイテーションの獲得
SEO対策については以下の記事でより詳しく解説しているので、参考にしてください。
7. ポータルサイト
登録する税理士の情報を集めたサイトです。アクセス数の多いポータルサイトに登録すれば、認知度の低い税理士でも、サイトを通じたアクセスが見込めます。主なポータルサイトには、「税理士ドットコム」や「会計事務所検索エンジン」があります。
ただし、多くの税理士の情報が掲載されているため、自分の情報が閲覧してもらえない可能性も考慮しましょう。
税理士ドットコム
税理士ドットコムとは、全国で6,000人以上の税理士が利用する日本最大級の税理士専用ポータルサイトです。事務所の情報を無料で掲載できるサービスを提供しています。
税理士ドットコムを利用するユーザーは税理士を検索できるだけでなく、税理士費用の相場も調べるようになっています。そのため、税理士を探す人の多くが閲覧するサービスであると考えられ、自分の情報が多くの人の目に触れる機会になるでしょう。
会計事務所検索エンジン
会計事務所検索エンジンは、10年以上前から運営されているポータルサイトなので安心して自分の情報を掲載することができます。無料で登録・掲載できるので、気軽に始められる集客方法といえるでしょう。
8. セミナー
ターゲット層を集めて相談しやすい関係性をつくる方法です。参加者が多ければ、信頼に値する弁護士と認識されやすく、将来の集客数増加につなげられます。また、直接顔を合わせるので、ターゲット層との距離を縮められるでしょう。
セミナーに参加する人は、税理士に何かしらの相談をしたいと思っている人が多いはずです。いわゆる見込み客を多く獲得することができるでしょう。
しかし、参加人数が少ないと信頼に欠けるといった印象を与えかねません。ある程度の人数が集まらなければ、開催の中止を視野に入れた対応が求められます。
9. そのほかの集客方法
そのほかの集客方法としては、昔ながらの手法ですが、「既存顧客やほかの士業の方、知人などからの紹介があります。紹介による営業はほかの方法と比べ、信頼が担保されていることから契約につながりやすい特徴があります。
ただし、紹介してくれた方との関係性も鑑みて、より慎重に対応しましょう。万が一、料金や内容などが顧客と折り合わなかった場合も、断るのが難しいというデメリットもあります。紹介者を通して顧客の人柄や要望を注意深く把握し、円滑に仕事を進められるようにしましょう。
また、税理士紹介サイトや比較サイトなどに登録するというのも1つの手です。利用料がかかる場合が多いですが、確実に税理士を必要としている顧客を紹介してもらえます。しかし、競合事務所が並ぶことになるので、価格やフォロー内容など他との差別化が大事です。
税理士が集客するときに気をつけたいこと
ここまで、税理士事務所が集客するための方法について紹介してきました。どの手法を取るにしても、税理士が集客する際は、安易に価格を下げるのではなく顧客の立場にたって専門性を高めたコンサルティングを売りにしていくのが大切です。
一度価格を下げてしまうと、その後コンサルティング料金を上げるのは難しいですし、あまりにも低価格だと顧客からの信頼を得られなくなってしまいます。
また、顧客を獲得したいからとテレアポや大量のDMを送るなどの強引な手段はやめておきましょう。テレアポを嫌がる企業や事業者は多く、事務所の評判にも傷が付きかねません。
まとめ
ホームページやブログ、SNSなどWebサービスを中心として、税理士事務所におすすめの集客方法を紹介してきました。これらすべての方法を自ら試みるのは、時間も手間も膨大となってしまい、非常に難しいでしょう。
特にホームページの活用は、集客に効果的なホームページ作成方法やその後の運用方法など、知識がないと困難なことが多いです。ブログやSNSといった、業務上の専門性や個性を打ち出すべきものは自身で作成し、それを総括するホームページ作成自体はノウハウの確かな専門業者に任せるのも有効な手法です。